2026年9月15日

前回、「半住半投」という考え方について書きました。
家は単なる消費ではなく、暮らしの場であると同時に、将来の選択肢にもなり得る。
だからこそ、
半分、住まい。
半分、投資。
そんな視点で家づくりを考えることが大切だと思っています。
今回は、その考え方がなぜ必要なのかについて、もう少し掘り下げてみたいと思います。
家づくりを考えるとき、多くの方は「今」の暮らしを中心に考えます。
子どもが生まれたから広いリビングがほしい。
家事がしやすい間取りにしたい。
休日は家族でゆっくり過ごせる家にしたい。
収納が足りないから住み替えたい。
どれもとても大切なことです。
むしろ、本来の家づくりとはそうあるべきだと思います。
家は家族が幸せに暮らすための場所です。
今の暮らしを良くしたい。
その想いから家づくりが始まるのは、ごく自然なことです。
ただ一方で、家は食べ物のように、その瞬間だけを満たす買い物ではありません。
10年。
20年。
30年。
長い時間をかけて人生を支えてくれる存在です。
そして、その間にはさまざまな変化が起こります。
転勤があるかもしれません。
子どもが県外へ進学するかもしれません。
親の介護が必要になるかもしれません。
夫婦だけの暮らしになるかもしれません。
住み替えを考える日が来るかもしれません。
良い悪いではなく、人生は思っている以上に変化します。
そして、その変化は決して特別なことではありません。
私は住宅業界に28年間携わってきましたが、実際に多くのお客様が、家を建てた当時には想像していなかった出来事を経験されています。
だからこそ私は、
未来のことは誰にもわからない。
しかし、未来に備える家づくりは必要だ。
そう考えています。
当然ですが、
家を売るつもりで家を建てる人はいません。
私がお会いするお客様も皆さん、
「この家で家族と幸せに暮らしたい」
という想いで家づくりを始められます。
私も、その気持ちが何より大切だと思っています。
だから私は、
「将来売ることを考えて家を建てましょう」
と言いたいわけではありません。
ただ、
もし人生が変わったとき、
もし住み続けることが難しくなったとき、
もし住み替えという選択をするとき、
その家が次の選択肢を残してくれる存在であってほしい。
そう思うのです。
「すでに起こった未来」。
少し不思議な言葉ですよね。
この言葉は経営学者のピーター・ドラッカーが語った考え方として知られています。
私も初めてこの言葉に触れたとき、大きな衝撃を受けました。
未来は予測できない。
その一方で、
すでに今見えている未来もある。
という考え方です。
たとえば、
人口減少。
少子高齢化。
空き家の増加。
コンパクトシティ化。
これらは未来の予測ではありません。
もうすでに起きている現実です。
今年生まれた子どもの数が分かれば、20年後の20歳人口はある程度予測できます。
今の50歳人口が分かれば、20年後の70歳人口もおおよそ見当がつきます。
空き家の増加も。
都市の変化も。
地域の人口動態も。
完全に当てることはできなくても、大きな流れは見えています。
つまり、
私たち自身の未来は分からなくても、
社会の未来には見えている部分があるのです。
ここでいう投資とは、不動産で利益を出すという意味ではありません。
人生の変化に備えるという意味です。
今の暮らしを大切にする。
家族が幸せに暮らせる家をつくる。
それは大前提です。
そのうえで、
「すでに起こっている未来」
と
「誰にも分からない未来」
この両方に目を向けて家づくりを考える。
そんな視点が必要だと思っています。
将来も住み続けやすい場所なのか。
必要になったとき、次の人に選ばれやすい家なのか。
家族構成が変わっても暮らしやすいのか。
そうした視点が結果として、
家族の選択肢や安心につながっていくのではないでしょうか。
私は、
今の暮らしを大切にしながら、
未来への備えも忘れない。
そんな家づくりをお手伝いしたいと思っています。