COLUMNコラム

物価高の今、家は買うべきか。それとも賃貸のままでいいのか。

2026年10月14日

山本尚弘 |北九州で豊かな暮らしを届ける人

山本尚弘 |北九州で豊かな暮らしを届ける人

最近、久しぶりの出張でホテルを利用した。

3年ほど前までよく利用していたホテルが、当時の倍以上の価格になっていた。

「たまたま高い日なのかな?」

そう思って別の日程も調べてみたが、どの日も似たような価格だった。

考えてみれば、ホテルだけではない。

スーパーでの買い物、家族での外食、ガソリン代。

「何でも高くなったなぁ」

そう感じることが本当に増えた。

そして当然ながら、住宅も例外ではない。

建築資材も人件費も上がり、住宅ローン金利も上昇傾向にある。

数年前なら手が届いた住宅が、今では予算オーバー。

だからこそ、こんな疑問を持つ人も多いのではないだろうか。

「今、本当に家を買って大丈夫なのか?」

「このまま賃貸の方が安心なんじゃないか?」


30代、子育て世帯のリアルな住宅事情

例えば、こんな家族を想像してみる。

夫35歳、妻33歳。

小学生の子どもが2人。

世帯年収は650万円。

現在は家賃7万5,000円の賃貸アパート暮らし。

子どもが大きくなり、そろそろそれぞれの部屋も必要になってきた。

できれば広いリビングも欲しい。

でも、これから教育費も増える。

車の買い替えもある。

老後の貯蓄だって考えなければならない。

そんな中、希望するエリアで土地を購入し、注文住宅を建てようとすると、総額5,500万円〜6,000万円。

「さすがに高すぎるのでは?」

そう感じるのも無理はない。

かといって、今の賃貸住宅にずっと住み続けることにも、少し不安がある。


賃貸と持ち家、結局どちらが得なのか

住宅相談の場でもよく聞かれる。

「賃貸と持ち家、どちらが得ですか?」

しかし、この質問に絶対的な正解はない。

転勤の可能性、子どもの年齢、収入、自己資金、老後の暮らし方。

家族によって条件が違うからだ。

例えば、家賃7万5,000円なら年間90万円。

30年間、家賃が変わらなければ2,700万円。

一方、5,500万円〜6,000万円の住宅を、全額借入・40年ローン・金利1.3%で購入すると、毎月の返済は約14.8万円〜16万円。

さらに持ち家には固定資産税や将来の修繕費も必要になる。

この数字だけを見れば、家計への負担は大きく違う。

ただし、賃貸は将来も家賃の支払いが続く一方、持ち家はローン完済後の負担が軽くなる可能性がある。

もっとも、40年ローンを35歳で組めば、完済は75歳。

定年後も返済が続く可能性がある。

また、土地や建物が資産として残ることもあるが、資産価値の下落や売却の難しさといったリスクもある。

どちらが得かは、毎月の支払額だけでは決められないのだと思う。


家を買わないという選択も、間違いではない

住宅業界にいると、どうしても家を持つことのメリットに目が向きやすい。

でも、私は賃貸という選択も十分に合理的だと思う。

例えば、住宅ローンの負担を抑えた分、家族旅行を楽しむ。

子どもの習い事や教育にお金をかける。

将来のために貯蓄や資産運用を続ける。

仕事や生活環境が変われば、住む場所を変える。

こうした自由さは賃貸ならではの魅力だ。

一方で、持ち家には自分たちの暮らしに合わせた空間をつくれる良さがある。

家族が自然と集まる広いリビング。

休日に庭で過ごすかけがえのない時間。

そうした日常に価値を感じる人もいるだろう。

そもそも、住まいの選択肢は二つだけではない

家を買うか、賃貸のままでいるか。

つい二者択一で考えてしまうが、実際にはもっと多くの選択肢がある。

新築の注文住宅。

建売住宅。

新築マンション。

中古住宅や中古マンションと、場合によってはリノベーション。

今の賃貸に住み続ける。

あるいは、もう少し広い賃貸住宅に住み替えるなど。

考え方を切り替えてみる

マイホーム=新築
マイホーム=注文住宅

と決めつけず、

中古住宅+リノベーション
規格住宅、建売住宅

という選択肢もある。

また、
大手ハウスメーカーではなく、地元の工務店。

に切り替える手もある。

10年後、子どもたちは何歳になっているだろう

住宅について考えるとき、もう一つ忘れたくないことがある。

それは、家族の時間だ。

今10歳の子どもは、10年後には20歳。

進学や就職で、家を離れているかもしれない。

家族4人で毎日食卓を囲む時間も、当たり前ではなくなる。


得か損かではなく、どう生きたいか

「家は家族が人生を過ごす場所」

人生が終わるとき、

「あの服を買っておけばよかった」

「あの財布が欲しかった」

という後悔はないのかもしれない。

しかし、家はどうでしょうか?

「あの時、もう少し広いリビングがあれば、家族でゆったり過ごせたかもしれない」
「庭やバルコニーの広い家だったら、子どもたちと夏にプールができたかもしれない」

そんな、「その家で過ごすはずだった時間」への後悔は、後から取り戻すことができません。

子どもが笑い転げる声、キッチンから漂う夕飯の匂い、家族で囲む何気ない食卓。

そうした「家族の風景」をどんな場所で描きたいか。

その答えは必ずしも持ち家とは限りませんが、

「これから家族と、どんな時間を積み重ねていきたいか」

という問いに、物価高の今だからこそ向き合う必要があるのかもしれません。

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